Prologue

シーン要約

スピーチを終え帰宅した13th Earl of Gurneyは、判事と貴族の責務のプレッシャーからの解放と安息を求めいつも通りバレエチュチュを着て首吊りプレイをするが、最中誤って足場を倒し、死亡してしまう。 (葉)


読解

【Prologue/1行目 (13th Earl of Gurney のスピーチ冒頭)】
Society of St George : 聖ジョージ(聖ゲオルギウス)協会
聖ジョージはイングランドの守護聖人。
検索してみたら1894年設立のThe Royal Society of St Georgeという会が実在しました。
いかにもイングランド愛国者の会!という雰囲気です。(y)


【Prologue/1行目 (13th Earl of Gurney のスピーチ最後)】
“This precious stone set in a silver sea”
シェイクスピア「リチャード二世」第二幕、1場からの引用。
その前に出てくる“This teeming womb of privilege”、
“Whose shores beat back the turbulent sea of foreign anarchy”も
「リチャード二世」の同じシーンの”This teeming womb of royal kings”、
“Whose rocky shore beats back the envious siege of watery Neptune”
から来ている様です。

「リチャード二世」のこのシーンは、ランカスター公ジョン・オヴ・ゴーント(王の伯父)が
病に倒れ、死ぬ間際に王に忠告をしようとするシーン。
数々の高貴な王を生み出し、海の神ネプチューンの攻撃を岩壁ではね返している、
白銀の海にはめ込まれた宝石のようなイングランド、
その尊い土地を王は金めあてに貸し出している、と嘆く台詞。(y)


未確定【Prologue/25行目 (13th Earl of Gurney の台詞)】
"Good idea, Tuck. For St George."
聖ジョージとシルクになにか関係があるのかと思いましたがよくわかりません。
聖ジョージはドラゴンからプリンセスを救い出したというエピソードが有名だそうですが
「プリンセスがシルクのウェディングドレスを着ていた」という説、
「プリンセスの帯をドラゴンの首に巻いてドラゴンを捉えた」という説を見たので
その辺と関係があるのでしょうか。(y)


質問【Prologue/27行目 (13th Earl of Gurney の台詞)】
”Ah, Tuck, there’s no end to duty. Every day’s like climbing a mountain. How did Tiberius do it at his age?”
「Tiberius」は第2代ローマ帝国皇帝ティベリウスのことだと思うのですが、
年老いても政治を続けていたとか、山に登っていたとかいうエピソードがあるのでしょうか?(y)


【prologue/31行目(13th Earl of Gurney の台詞)】
「生殺与奪権。それ以外のvicesは必要ない。一度black cap(死刑判決を下す判事の黒帽子)を被ってしまうと、全ては偽物の果実の味がする」
viceの意味を「性的不道徳」のニュアンスで取ると、Gurneyが過激なプレイを求めていることと繋がるかなと。
判事の権利が与える以上の強烈な刺激でないと、Gurneyは性的プレイで癒され満足することはできない。のでああなると。
プレイ内容が首つり(死刑)だというのも皮肉的。(葉)
 ↑【Act Two、Scene five/40行目】で
ディンスデールが死刑制度を復活させたいと発言している。
The power of life and death=生殺与奪権、black cap=判事の黒帽子というのは合ってるように思うのだが、読み込みは誤り。(葉)



【Prologue/36行目】
(Tuckerが一旦舞台から下がり、剣やチュチュを取り出した後の13th Earl of Gurney の台詞)
"Feet, feet, feet, the boys are marching!"
南北戦争の際に捕虜となった兵士に希望を与えるために作られたという歌、
"Tramp!, Tramp! Tramp!"のサビに
"Tramp, tramp, trapm, the boys are marching" とあるのと関連しているかもしれません。
この部分、舞台では歌っていたかどうか記憶にないのですが、
"Tramp!, Tramp! Tramp!" はこんな曲です。https://youtu.be/AO6SmllpTR8 (y)


【Prologue/36行目】
"A little more grape-shot Captain Bragg!"
米墨戦争(1846-1848)における「ブエナ・ビスタの戦い」で、
米軍のザカリー・テイラー少将がブラクストン・ブラッグ大尉に対し
"Double-shot your guns and give 'em hell, Bragg"
(連発弾を使ってやつらを地獄に遅れ、ブラッグ)と命令した言葉が
"Give them a little more grape, Captain Bragg"
(やつらにもっとブドウ弾をお見舞いしろ、ブラッグ大尉)
と誤って引用され(もしくは故意に修正?)、
後にテイラーが大統領選に立候補した際にスローガンとして使われたそうです。(y)

続けての"Give ‘em the cold steel, boys." は南北戦争時の
南軍の将軍ルイス・アーミステッドがゲティスバーグの戦いの中の「ピケットの突撃」で
突撃の目標であった場所の石壁を超える際、
部下の兵士達に向かって叫んだ言葉。そのすぐあとに撃たれて致命傷を負ったとのこと。(y)


未確定【Prologue/37行目】(13th Earl of Gurney の台詞)
首つりプレイを始めた13th Earl of Gurney が「彼女の息を感じる…」などと恍惚としているシーン。
herとThe worms、単純に連想したのはイヴとヘビだけれども、"s"が引っかかる。
同文中「The wormsは木の最も柔らかい結合部で食事をする」…はセックスのメタファー。ならばThe wormsは男根(複数)と把握するのがよさそう。
そこに「赤髪」のイメージを加えると、herは娼婦マグダラのマリアとみるのが妥当か。

しかし2度目の恍惚での冒頭Touched him, saw her,はイエスとマリアを指しているように思える。(葉)


【prologue/36行目】(13th Earl of Gurney の台詞)
”It is a far, far better thing I do now, than I have ever done.” は、ディケンズ
「二都物語」の最後の文章、
”It is a far, far better thing that I do, than I have ever done;
it is a far, far better rest that I go to than I have ever known.” 
 からの引用。(y)


【prologue/36行目】(13th Earl of Gurney の台詞)
"No, Sir. No bandage."
Henry Hart Milmanによる戯曲「Anne Boleynの、処刑される直前のアン・ブーリンの台詞
"No, Sir. I'll wear no bandage o'er mine eyes" の引用かと思われます。
処刑人に対し、目隠しはいらない、怯えずに自らの死を見据えたいからという
気丈な台詞。(y)


【prologue/36行目】(13th Earl of Gurney の台詞)
 ”Die my dear doctor? That’s the last thing I shall do.”
ヘンリー・ジョン・テンプル(第三代パーマストン子爵)が亡くなる間際に言ったとされる言葉。(y)


【prologue/36行目】(13th Earl of Gurney の台詞)
”Saw Alexander covered with honey and beeswax in his tomb”
アレキサンダー大王が遠征先のバビロンで死んだ際、
黄金の棺に蜂蜜漬けにして遺体をアレキサンドリアまで運んだというエピソードがあるそうです。(y)

  • 最終更新:2015-05-10 11:57:37

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